私は2歳になる前に父親に捨てられた。

他にオンナをつくり、家族を捨てて父はオンナと高級マンションに住んでた。
私たちはボロボロの雨漏りする家…
父と呼ぶには抵抗がある。
以下、あの人と呼ぼう。
あの人はひと月に一度家にきた。
突然、連絡もなく。
私はあの人とまともに話した事がない。
話せない。
私が男嫌いなのはあの人のせいだ。
これは断言する。
母の苦労は尋常ではなかった。
なのに、母は泣き言ひとつ言わず働いて働いて働いて…
あの男のせいで母の人生は狂った。
オンナに捨てられたあの男はノコノコと母の元に帰ってきた。
私は大反対した。
あんな男、受け入れられない。
しかし、母は受け入れた。
反省も後悔も何もなく、常に偉そうなあの男。
早く死ねばみんな幸せになるのに、と思った。
それから何年も経って
あの男は死んだ。
誰にも看取られる事なく孤独に死んでいた。
涙など出なかった。
なんとも思わなかった。
それどころか
「やっと死んでくれた」とホッとした。
ただ悲しかったのは
親が死んだのに涙が出ない、悲しくない自分が悲しかった。
死に様は生き様。
生き様は死に様。
私はあの人のお墓の所在も知らない。
私の日常にあの人の存在はない。
母を大事にしなかったあの男。
魂さえ消滅させてやる。
死んでもなおあの男は死に続ける。
死に様は生き様。
生き様は死に様。

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